あくびの仕組みを論文で紐解く!なぜ出るのか?なぜうつるのか?

あくびの仕組みを論文で紐解く!なぜ出るのか?なぜうつるのか?メカニズム

「あくび」は非常に面白く興味深い研究結果が多いです。それはあくびの「うつる」と言う不思議な現象を考えてみるとご理解いただけるかと思います。

あくびは眠気のサインだけではありません。思っている以上に様々な事を私たちに教えてくれています。これは、私達人間に限った話ではなく、脊椎動物全般に言えることなのです。

あくびは社会行動・生理・心理・神経の学術分野にまたがり、議論が繰り広げられています。当たり前すぎて意識も考えもしなかった「あくび」に、隠されたサインとは一体何なのでしょうか。

今回は、最新の論文をベースに、あくびの仕組みとなぜ出るのか、なぜうつるのかについてご紹介していきます。

この記事は以下の人におすすめ
・あくびの仕組みが知りたい人
・あくびがなぜ出るのか知りたい人
・あくびがなぜうつるのか知りたい人
・あくびの対策を知りたい人

あくびの仕組み

あくびの仕組み

あくびの仕組みは科学的に証明された説はありません。

しかし、最近の研究結果では以下のような仕組みがあると言われています。

脳・頭蓋骨の温度上昇をトリガーに、口を大きく開けて息を吐いて吸うことで、周囲の空気との向流熱交換を促進し、脳を冷却する「代償性脳冷却機構」としての仕組みを持っている。
また、あくびをすると涙がでるのは、大きく口を開けることで顔の筋肉が強く刺激され、涙のふくろ(涙のう)を圧迫するためである。

あくびは、一般的に重要な出来事を予期して起こり、状態変化を促す「喚起効果」があり、警戒心が低い時に引き起こされる傾向にあると言われています。

また、あくびは呼吸とは違うメカニズムとして結論づけられており、呼吸にとってあくびは必要な要素ではないことが科学文献では広く受け入れられています。

なお、あくびが血中酸素濃度を平衡化するために作用するとの説がありますが、これは間違った主張であり、あくびの頻度により酸素レベルが増減しないこと、呼吸を乱すのに十分な運動があくびに影響を及ぼさないことが実証されています。

以上の仕組みを踏まえて、「自発的なあくび」と「伝染性のあくび」の2つの分野で、あくびの役割と原因について研究が進められています。

■参考資料
動物群のあくびの原因と結果 – Science Direct
あくびと酸素レベルの関連性はなし – Science Direct
あくびをすると涙が出る理由 – 学研kidsネット

あくびはなぜ出るのか

あくびはなぜ出るのか

あくびが出る理由については、「自発的なあくび」に該当する理由を当てはめることができます。

眠気と疲労

あくびをする理由として一般的に知られている理由が「睡眠」と「活動の概日変動(睡眠リズム)」との関連性です。

多くの研究結果で「朝起きた直後にあくび発生の割合が最初に上昇し、夕方からあくび頻度のより大きな増加を示す」こと、睡眠前後のあくび頻度の変化は「脳or体温の概日変動」と強く相関することが判明しています。

また、疲労に関しては諸説ありますが、上述した通り血中酸素濃度とあくびの関連性がないことより、疲労そのものにあくびを誘発する原因はないと考えられています。

しかし、疲労が蓄積することにより引き起こされる「眠気」や「警戒心の低下」により、あくびが誘発されることは考えられます。そのため、疲労は根本的な原因ではなく、直接原因としてあくびを誘発する可能性があると言えます。

以上の事から、眠気と疲労から誘発される因子により、自発的なあくびが誘発されていると考えられています。

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警戒心の低下

人間を含む脊椎動物における研究の結果、警戒心の低下によりあくびが誘発されていることは、多くの文献で指摘されており、警戒心の低下が根本原因だと主張する研究者もいるくらい、あくびの誘発の原因として有力視されています。

警戒心が低下する要因では、疲労・退屈・注意力or集中力の変動などが挙げられています。

神経学的研究によると、睡眠前後の期間にあくび頻度が増加するのと同等に、あくびの前に、退屈・警戒を示す脳マーカーの低下が有意に示されていること、あくびを視覚or聴覚により知覚すると、脅威・危機の検知能力が向上することが判明しています。

これらの点と「あくびは必ずうつるものではない」ことから考えると、あくびは警戒心が低下した時に、他者のあくびをトリガーとして誘発されているとも考えられています。

いずれにせよ、あくびが出る理由として、警戒心の低下があり得ることは間違いなさそうです。

ストレスと不安

あくびは、ストレスを感じている状態orストレスから来る不安な状態になってから、数十分ほど経過すると、あくび頻度の増加することが判明しています。

生理学では「ストレスは身体温度の上昇を引き起こす」と言われており、その温度上昇の期間とあくび頻度の増加に関する期間に関連性があるとことが、鳥類or哺乳類による実験で明らかになりました。

また、最初の自由落下前の空挺部隊員、演奏を待っているミュージシャン、競技前のオリンピック選手など、不安やストレスを多く感じるイベント前にあくびが増加することが観測されています。

なお、あくびが「ストレスによる身体温度の上昇」により誘発される場合、ストレスの負荷とも関連性があると考えられます。

ストレス負荷が低い場合は、身体温度の上昇もさほど見込めないため、ストレスを感じてもあくびが誘発されることはなく、日常でストレスとあくびの関連性を想起できる人は限られてくることが想定されます。

以上の点を踏まえて、私も含め一般人にはストレスが原因と推測するのは難しいですが、ストレスや不安もあくびを誘発する要因であることが考えられます。

■参考資料
動物群のあくびの原因と結果(自発的あくび) – Science Direct

あくびはなぜうつるのか

あくびはなぜうつるのか

あくびがうつる理由については、「伝染性のあくび」に該当する理由をあてはめることができます。「ミラーニューロシステム」と深い関りを示唆するような理由が述べられていました。

以下も同様に科学的には証明されておらず、研究結果として報告されているだけであることにご注意ください。

協調性・同期としての認識

あくびがうつる理由として、その人に対して「グループの一部」として認識しているかどうかが重要であると考えられます。

つまり、その相手に対して協調性や同期的な一面を持っているor感じているかどうかで、その相手のあくびがうつるかどうかが決まってくると言われています。

同種族(ヒト同士)をはじめ、集団行動などと言った同期的な一面を共有していた場合や、人と飼育された動物(犬、オオカミetc)など協調性が高い状態にある場合に、あくびが伝染することが研究結果として挙げられています。

大半の異種族同士の研究の場合は、飼育された動物を被験者として扱っています。

これらのことから、同種族だからあくびが伝染するのではなく、「同期的な一面」や「協調性」を感じているから伝染することが有力視されていると推測されます。

参考論文では、「社会的結束力」として捉えていました。

警戒心・危機感受性の低下

あくびがなぜうつるのかのメカニズムは未だ解明されていない状況ですが、警戒心・危機感受性の低下が最も有力な候補として挙げられています。

伝染性のあくびは、視覚的or聴覚的な手がかりによって引き起こされること、あくびをした根拠について考えたり読んだりするだけでも誘発することができることが判明しています。

人間に関する最近の研究では、他人のあくびを目撃するだけで個々の脅威の検出が向上すること、妊娠中の女性は、脅迫的な刺激に反応しやすく、あくびがうつりやすいことが研究結果で報告されています。

また、ヒトに関するニューロイメージング研究は、あくび刺激にさらされた後の脳活性化の明確なパターンを示しており、脅威検出の改善を示していることが研究結果として報告されています。

このことから、あくびがうつることで、そのグループ全体の警戒心・危機感受性の強化を促している可能性があり、あくびは「脳温度の上昇」と「精神な問題の処理」に対抗する手段として進化したものであると仮説が有力視されています。

■参考資料
動物群のあくびの原因と結果(伝染性あくび) – Science Direct

あくびの対策とは

あくびの対策とは

これらの研究結果を踏まえて、あくびが止まらない人やあくびが頻発する人に対しての対抗策を考察していきます。

睡眠環境を整える

概日変動(睡眠リズム)を極力抑えることで、あくびを減らせる可能性があります。

そのためには、自分にあった睡眠時間を確保し、翌日に疲労を残さないように、質の高い睡眠を行ていく事が大切になると考えています。

質の高い睡眠を行うことは、朝の目覚めを良くし、活動意欲を高めて、日中帯の精神面の安定化を図る効果もあります。

まずは、質の高い睡眠と自分に合った睡眠時間の確保を考えていきましょう。

ストレス発散方法を見つける

ストレスや不安から来るあくびの対策として、自分にあったストレス発散方法を確立することをおすすめいたします。

日本でいうところの「生あくび」と呼ばれるあくびを抑制するのに高い効果を期待できます。

ストレスや不安は、脳を酷使して脳温度を急激に高めてしまう危険性もありますが、一線を越えてしまうと思考が停止して警戒心や危機管理能力を著しく低下させてしまいます。

国民病とも呼ばれる「ストレス」は誰にでも起こりうる病気ですので、医師に相談するなり、自己解決方法を模索するなり、きちんとした対処法を確立しておきましょう。

首を冷やす

海外の研究結果によると「首の温度を冷やすと伝染性のあくびが減少する」とのことです。

あくびは脳/or頭蓋温度の上昇を基に発症するため、首の頸動脈を冷やし頭蓋温度を低下させることで、あくびの頻度が減少するそうです。

これはあくびが脳or頭蓋温度と関りがあることを証明する有力な証拠になりますね。

この研究では、首の頸動脈の上に冷却材を固定して実験を行ったそうなので、自分で試す場合は参考にしてみてください。

■参考資料
首の温度変化で伝染性のあくびが変わる – Science Direct

【余談】あくびはサイコパスをも見分ける?

【余談】あくびはサイコパスをも見分ける?

海外の研究で「サイコパスの特徴で高いスコアを出した人はあくびがうつる可能性が低い」ことが報告されました。

この研究への参加者は、オンライン調査により選出された50の国籍からなる458人の参加者(女性329人、男性124人、性別を示さなかった5人)と、規模としてはかなり大きいと言えます。

ビデオクリップで49人の人間と1匹の犬のあくび映像を4秒弱ずつ流し、その間のあくびを計測して、その後、サイコパス試験(LSRPS)を受講したそうです。

その結果、伝染性のあくびを示さなかった参加者(37.3%)が、LSRPSの一次サイコパス尺度を含む、サイコパスの様々な尺度でより高いスコアを獲得する傾向を示したそうです。

確かに、「自閉症の子供はあくびがうつらない」と言った研究結果があるように、協調性に関して問題のある人間に、あくびがうつらないのは妥当なのかもしれません。

まさか、サイコパス判断の1つの指標になるとは思っていませんでした。

■参考資料
サイコパス診断で高いスコアを出した人は伝染性のあくびをしない – nature

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あくび同様に現在もなお解明されていない点が多いですが、睡眠に関する「疲労」と「眠気」に関するメカニズムもまとめていますのでご一読いただければと存じます。

プロフィール
ぺぴちに

IT企業でのSE・プロマネ経験を経て、現在は「人の心理」について研究をしています。
5年間のうつ病生活の実体験から得た知識を元に、「睡眠」「ストレス」に関する問題を解決するための情報を発信していきます。

[実績]
・保険機関・論文を含め200件以上の情報を解読。
・2021年に書籍化の話をいただく。

科学的に解明がされていない事が多い分野であるため、基本的には絶対的な方法より、可能性のある方法を提案することが重要であると考えています。

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